2025年6月3日

161 能登あすなろ通信 五月晴れ


 



五月雨から五月晴れと近頃の空模様だ。家にいても、野良仕事するにも、何をするにも、一年でもっとも気持ち良く過ごせる季節だ。畑地での、日差しの浴びる仕事が楽しい。草花、樹木が急激に育ってきている。草刈りは大変だが、満開になっている花を見つけては、しばし休む。雑草で、当たり前に、うんざりする位に咲き誇っている花々なのだが、この中の一つの花を摘まみ出してみると、その可憐さ、巧妙さは筆舌に尽くしがたい。どれもこれも特殊で、唯一無二なのだ。何百万年、いや何十億年もかかって紡ぎ出された花たちなのだ。人間にとって、必要ない、刈ってしまえば良い雑草は、ある人々にとっては、また他の生きもの達にとっては掛け替えのない草花なのだ。岩石、微生物、昆虫、動物、人間、みんな生命の歴史からみると、掛け替えのない生きもの達なのだ。

五月の空は、若葉が目立つ。つい最近まで裸木に近かった枝々に若葉が生い繁り、光りをさえぎり、地上に微妙な影を造っていく。樹木の間に太陽が点滅していく。爽やかな風が流れていく。人間世界とは全く異なった光景が拡がっていく。

地球に生物の原型が生まれて38億年、人類が誕生して700万年、定住し、農耕生活が始まって、一万年。そしてぼくはこの世に生まれ、ここに生きている。誰しも、確かな明日のことは分からない。しかし、今日という日は、38億年、いや全宇宙の営みの一日一日の出来事の到達点であったことは確かなことだ。                         2025年5月30日

                                                                                                                         

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