日頃から馴染んでいる風景や人物が、ある日、今までと異なって見えてくることがあります。
いつも利用している道路を走っているのです。が、暫く滞在していた、ビルが乱立した都会からの帰途に就いた、我が住処までの帰り路の、森、木立、花々、村や農家などの家並みが、すっかり鮮やかに模様変えしてしまったかのように見えることがあります。
何事も慣れてくることは、必要です。慣れてこなければ、料理、洗濯を初め、生活全体が成り立ちません。しかし、慣れ切ってしまうことで、初々しい気持ちが失われます。森、木立、あらゆるものの風景は、瞬間に変化し続けています。片時も同じ状態でいることはありません。常に初々しい。ただ私達が、その初々しさに目を閉ざし、同調できないでいる。
私達人間は、私達だけで生きているわけではありません。空気や水、生きとし生けるもの、あらゆるもの達と共に生きています。この一人ひとりの被われた皮膚から、一歩外に出ると、後は無限に広がっていく世界があり、宇宙があります。いいえ皮膚の外側であれ、内側であっても、限界というものなど及びもつかない無限のいのちが宿っています。
私一人が、健康でいられるわけがありません。我が家だけが幸せでいられるわけがありません。世界の中で日本だけが、豊かでいられるわけがありません。人間だけが、長生きできるわけがありません。あらゆる生きとし生けるものが健やかであって、私達も生きていけます。
2016年6月10日
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