2021年2月27日

110 能登あすなろ通信  春のような

 


冬が終わって、とうとう春が来た。いや、まだ春ではないような、冬が終わってはいないような気持ちだ。雪除け用の新式のスコップも用意した。それを使わずにこのまま春になってしまうのかな…。真冬と、春のようなぽかぽか陽気が、いきなり交互に訪れてきたような感がする今年の冬だった。また突然の雪が来そうな気がして、こころはまだ冬のままでこり固まっている。

それでも一週間前ぐらいから、ふきのとうが顔を出し、それのてんぷら、ふき味噌など食している。都会では、このふきのとうが袋に入って、陳列されてある。この辺りで採れる大小ばらばらの泥つきではなく、見栄えが良く均一化された大柄なものである。近くに野原がないから、当然ふきのとうの姿も見えるはずもないから、買われていく。都市生活が便利なのか不便なのか、良いか悪いか、色々あるだろうが。日本列島全体が都市生活へと進む方が便利で、幸せだと思い込んでいるのが私たちの大半な気持ちなのかもしれない。

鶯もおぼつかなく鳴きだした。発声練習中、発音がまだたどたどしい。この声、天性のソプラノ歌手として、メスたちや私たちを惹きつけていく魔力があるが、烏やトンビなどの他の鳥には、獲物であるかただの通過点でもあるかのように聞こえているようだ。私たちも惹きつけられる方へと自ずから、耳を傾け歩いていく。何に引きつけられているのか。それを確かめつつ、さらにそれを研ぎ澄ましながら生きていく人は、幸せだ。 2021年2月25日

 

 

 

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