能登は、いつもの冬空に被われている。太平洋側に住んでいる方々に、この冬空のことを説明しても、なかなかその中身にまで語り尽くすことは難しい。それ程太平洋側と空模様が違っているからだ。今のところ、暖冬のせいか、雪はなく時雨が多い。時おり霙が混じる。空は殆んど毎日、灰色に被われて、太陽はめったに顔を見せない。ここは特に日本海を展望できる位置にあるから、海からの強風が、波音と共に凄まじい音を立てて吹いてくる。二階にいると、家が揺れて、船にでも乗っている気分になる。
そんな冬の日々だから、段々に外へと出るのが億劫になる。毎日のように会っていた畑の友達とも会わない。偶々外で出くわすと、懐かしく、嬉しい。大概みんな同じような気持ちではないかと思っている。ここの冬は、淋しくて、厳しい。腹をくくって過ごさないと、この冬空と風と雪に圧倒されてしまう気がする。
もうそこに正月。あっという間に時が流れていく。様々な生活風景が変わっていく。山々が、森が切り崩されて新しい道路ができていく。便利な物が次から次へと造られ、溢れていく。豊かになっているのだろうか。何処に向かって生きているのだろうか。便利さと豊かさを求めているのだろうか。腹をくくってかからなければいけないのは、自らの足で、この変わらぬ大地に足つけて、この圧倒する訳が分からない、時の流れに抗していく意志力かもしれない。 2019年12月25日
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