2024年7月4日

150 能登あすなろ通信 梅干し

 


梅の実が青々として一人前の顔になってきた。もう直ぐ採っても良い頃合いだ。梅干しを作り始めて、二十年以上になる。途中で作ることを怠ると、良くないことが起こると云われてきたものだから、毎年油断なく作り続けてきた。でも今年は特別だ。そんなことをしている場合じゃないと思ったのだが…。時期が近づくと、ザルいっぱい位は漬けたくなった。途中で途切れるのが残念に思えてきたのだ。不断の日常生活を続けていこうと思う。ぼくの期待に沿ってこの家も、自ら立ち直ってくれる筈だと、自分勝手な思いを描く。

栃木県那須の友人の大工、中島さんが家を立て直すために、二週間だけの期限で、来てもらえることになった。傾いた基礎と難しい箇所さえ直してもらえれば、残りは折々と、専門家に教わりながら、自らの手でできるだけのことはしたいと思っている。小屋の壊れた瓦は、三十枚も取り替えることができた。全く初めての仕事だったが、やっている内に何とか仕上がった。随分といい加減の瓦屋根になっているが、取り組まなかったならば、ブルーシートのままだった。大工仕事もやっている内に、少しづつ上手になっていくに違いない。「為せば成る、為さねばならぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」という和歌を思い出した。

ほんの僅かの一歩でも、ともあれ前へと進むことができる。これは何も家のことだけではない。人生全体、生涯をかけて、自らの向かう道を切り拓きながら歩く人は、とても仕合せだ。                2024年6月29日

                      

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