2023年5月29日

137 能登あすなろ通信 春たけなわ

 


春深し、春たけなわといった言葉がふさわしい五月の春。一年の内で、もっとも快適に過ごすことができる季節。まだハエやアブ、蚊等に煩わされることが少なく、暑くも寒くもない日々。今の内にと、ま夏を想い、野良仕事に精を出す。草刈り機を振り回し、鎌で畑の草を刈っていく。まだそれ程大きく育っていない野原に足を踏み入れて、様々な旬の花々が咲き乱れている、そんな草花の中を歩いて行くことができるのも嬉しい。

そのような春の旬を過ごしていると思ったある日、この快適さは、生きていることへのご褒美のようにも思えた。この季節があるから、身に覚えがあるから、カンカン照りのま夏の暑さにも、ブルブル震える寒中にも辛抱していけるのだ。…それならば、うーんと、この五月の空を、地上を力いっぱい満喫していこう。いっぱいにそれらと共に生きていこう。きっと今、そうしていくことが、日照りの夏へと、心身を整え、準備していくのだろう。

黒島町の夏祭りの準備が始まった。何故あの真夏のまっ最中の炎天下で、華やかながら、様々な労苦を伴う祭りを持ってこなければいけないのか。…重いリュックを背負い、互いに励まし合いながら、一歩いっぽでしかたどり着けない登山を思った。命を削るようにして登っていき、やっと頂上にたどり着いた時の、全員での達成感を思う。

私たちは、時に、何の理由もなく、訳が分からないまま、何かに一生懸命に打ち込むことを欲していく。この場に生きている、えも言われぬ不安や熱さからだと思っている。                      2023年5月26日

 

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