2023年4月30日

136 能登あすなろ通信 ツバメ飛来



明け方、ツバメの一声で起こされる。空はまだ真っ暗なのだけど、もう直に太陽が顔を出すことが分かっているのだ。外に出してくれと言わんばかりに、次第に声高になっていく。裏口の戸が少し開いて、自由に往来できるようになっているのに、そこから出ていこうとはしない。ぼくが正面玄関の戸を開けるのを待っているのだ。裏口から勝手に出ていって、というのだが、早朝だけは正面玄関から出て行きたいと主張する。次第に玄関内をあちこち飛び回り、催促が強くなっていく。戸を開けた途端、一足飛びに飛び出していく。嬉しそうな、はしゃぎ回る鳴き声がしばらく続く。―今、卵を抱えている。東南アジアからの長い困難な旅を終えて、安住の地に着いて程なく、今度は子育てで、嬉しくて忙しそうだ。

鳥は、何百という言葉を持ち、文法も駆使して、仲間たちとコミュニケーションをとっていると、若い日本の鳥類博士が学会で発表して、世界中から注目を集めている。鳥たちだけでなく、動物、植物、昆虫、あらゆる生きものたちが、人間が思っている以上に、複雑かつ精妙に、連絡し合い、互いに強い絆で結ばれていることが分かってきている。

人間だけが、地球の主人公ではない。あらゆる生きものたちが互いに共存している地球だ。人間の知識や知恵が、如何に狭く、歪であるかは、誰かの研究発表を待つまでもない。一人ひとりが、自分のこころを真摯に覗いていくと、自ずと分かってくることに違いない。      2023年4月25日


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