2023年3月1日

134 能登あすなろ通信 梅の花

 


暦の上では、冬が終わって、春が来ている。やっと声になった初々しい鶯の初鳴きがあり、プーンと甘い香りを漂わせて、梅の花が咲き始め、思いっ切り苦いフキノトウも味わった。だがぼくの中では、まだ春が来ているという実感がない。時々素敵な雪が散らつくほどの、朝晩の冷え込みもあるが、何よりも雲一つない青空を、まだ一度も拝めていない。…そんな春らしい春は、もう少し待ってと、その空に云われているのかもしれない。

あっという間に、月日が経ってしまった。気がつけば、もうこんな年になってしまった。という声を、よく聞く。しかし、ぼくには余りそんな思いは浮かんで来ない。

まだ来てもいない明日のことで心配したり、思い煩うのは止めよう。過ぎ去った過去のことで、悔やんだり、振り返って固執するのは、もう止めようと、心に誓ってから十年を越えた。それ以来、今日一日のことだけに専念することだけを心掛けようとしてきた。まだまだ完璧にはいかず雑念が入り、将来や過去のことで、今日を疎かにしていくぼくを見出す。

他人あるいは過去のぼくと、給料や職業、性格、年齢で優劣を競ってみても仕方がない。今しかない今を、たった一度しかない今日を、過去のそれと比較しても詮がない。今ある、手の内にあるだけの材料、素材で、それをどれ程活かせるかが、今を輝かすことではないのか。明日のことは、明日に任せていくことが、一番清々しい。       2023年2月25日

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