2022年4月25日

124 能登あすなろ通信 つばめ

 


つばめが我が家に棲み始めて一ヶ月になる。彼らは集団を組んで、フィリピンやインドネシアなど東南アジア一帯の暖かい地域から、こちらの春の知らせと共にやってくる。あの小さな身体で、随分と長い距離を、様々な困難、危険を克服して飛んでくるのだから、並々ならぬ根性や意志を持っているのだと。そのことだけで、彼らに対して敬服している感がある。

最近、日本の若き鳥類学者が、鳥は約二百の単語を用い、文法も備えて、互いに会話をしている。と、学会で発表し、世界中で評判になっている。実際の鳥の鳴き声と共に、彼の解説を聞いたこともあり、漠然とそのような気がしていた、ぼくの気持ちに、確信が生じ始めた。

 夜中の三時過ぎから、玄関の道具箱の上で、けたたましく鳴く。もう少し小さな声で鳴いて。と知らせようとするが、単語一つも分からないから、真似して鳴いてみるが、一向にぼくの気持ちが通じない。発音?のせいか、何だかわからない。しかし考えてみると、人間だって静かにしろ。と言っても通じないのは通じない。と、漸く了解できた。

 霊長類、人間だけが言葉を使って、会話している。と思っている。しかし鳥だけではなく、あらゆる生きものが、全く別のコトバを持ってコミュニケーションしているはずだ。これは、昔の先人たちが当たり前に感じていたことなのだ。自然を、他の生き物を征服し、思い通りに、それを作り変えられると思い始めた時から、ぼくらは、そんな自然のコミュニケーションの世界から外されていったようだ。                       2022年4月25日

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