朝、畑に行く、といっても、数分も歩けば行き着ける距離なのだが。そのわずかの距離の途々でも、実に多くの生き物たちに出会う。その筆頭が、名前も分からない、小さな草花たちなのだが。
四年前、畑を始めた頃は、そんな草花には殆んど無関心だった。野菜を育てることだけで、気持ちが手一杯だったのだ。だが時間が経つにつれ、段々に、畑では邪魔者、悪者扱いされている雑草が、先ず気になり出した。その名前が分からない。どんな小さな草花にも、雑草と言われるものはない。それにはきちんとした名前がついており、性格があり、そこに至ったその経緯がある筈なのである。
「能登の山の会」という五十年もの歴史がある会がある。それは「山の会」というのではなく、植物研究の会である。そこで、植物を観察していく手解きを受ける。拡大鏡で見る。においを嗅ぐ。味わう。葉、花、茎、根の様子、地形、場所なども考慮に入れて観察していく方法を教えてもらっていく。しかし何よりも大切なのは、生きものに対する慈しみや敬意を払うことだと教えられる。
どんな生きもの、たとえ蚊やゴキブリだって、本当の邪魔者、悪者は存在しない。私たち人間にとっては、不都合なことだけであって、それらは人間の為に生きていないだけのことだ。人間にとって都合よく、益あるものだけを追い求めていくと、この地球やその他の生きものが、どうなっていくのかは明らかだ。しかしともあれ、それは自身に向かってのコトバとなり、今日一日の手引きとなっていく。 2021年5月25日
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