2020年9月25日

105 能登あすなろ通信  夏が去っていく

 


夜の明けるのが日増しに遅くなり、夕焼けの時刻が早まっていく。涼しくなって、半袖から長袖へと衣替えし、布団の様子も変わっていく。暑くて、夜じゅうずっと扇風機をかけっ放しにしていた、熱い夏が、いっぱい泳ぐぞと思っていた海が、遠くへと去っていく。一年後には、また暑い夏がやって来るだろう。多分、やって来るだろう。多分…、でも誰も、それは分からない。

いい加減な野菜つくりをしている。土を耕さない。化学肥料を使わない。農薬を使わない。雑草を余り刈りとらない。色々な野菜たちが混在していて、その中に花があり、雑草があり、ミミズがいて、様々な虫たちが棲んでいる。彼らとの一つひとつと、付き合い方を深くしたい、声を聴きたい。野菜ができるのは嬉しい。だが、それよりも大切なものが、畑には潜んでいる。ぼくには決して敵わぬ、生きることを謳歌している生き物たちがいる。彼らに教えられ、励まされ、促がされるものがある。人間の知恵では、到底及び難いものが、そこには、生きている。

自然を征服し、作り変え、そこから人間に都合の良いものばかりを、採っていく、そんな人間社会だけだとしたら、それは、ぼくら自身が貧しくなっていくばかりではないのだろうか。束の間の人生とも思えるこの人生を、お金や物や食べることだけに費やしていくのは、余りにも勿体ない。

2020年9月25日          

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