2019年7月26日

91 能登あすなろ通信  梅雨 海 松葉牡丹

例年には、とっくに明けてよい筈の梅雨が、まだ明けていない。時々ニュースとして報道される九州や四国の豪雨を聞くと、こちらの状況は、まだましだと思う。土砂降りが、数時間も続くと恐くなってくる。そんな大雨ではなく、しとしと雨が、降ったり、止んだりしている。いつか梅雨も明けるでしょう。ゆっくり待つしかない。梅雨が明けると、厳しいカンカン照りが待っている。そうすると今度は、雨が降らないかな、と思うに決まっている。そうやって私たちは、決して意のままにならない人生を学び、歩んでいく。
 能登に移り住んでから、真夏になると、仲間たちと海に行って泳ぐ。能登の海は、澄んでいて、冷たく、獲物が多い。水中メガネをつけて、海に潜れば、泳ぐ魚が、ゆらめく海藻が、生めかしく生きている世界へと入っていく。そこで、自分の息遣いだけが大きくなり、一人きりになり、静寂した、死と隣り合わせになっていく。そうして外側からは決して触れられない世界を、内側へと侵入し、海と魚と触れ合っていくドキドキ感。そんな快感が忘れられなくて、今夏も出かける準備をする。
近所で見つけた松葉牡丹が素敵だったので、その種をまいた。気軽にまいたのに、思いのほか苗が百本ほど育った。あの時、ゴミのようにしか見えなかった小さな粒、種が、こんなに大きな葉っぱと美しい花を潜み隠しもっていたことに驚く。それは松葉牡丹に限らず、どんな野菜でも、種から育って成長していく姿をみると、いつでも不思議でたまらない。          
2019年7月24日
  
    

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