2019年5月23日

89 能登あすなろ通信  野良仕事


車で十五分ほど走ると、森の中に入っていく。誰もいない森へ行くと、少し怖い。先ずイノシシに出会うのではないかと、用心する。太めの枝やスコップ等をもっていると安心する。時々イノシシを捕獲する檻がみえる。一度も遭遇したことはないのだけれども、また襲われることなどないとは思っているが…。明るい日中でも不安なのに、暗くなってくると、いっそう不安がます。こんな時、どれ程家の、電気のある生活に安住しているかが、よく分かる。森でも海でも夜の世界は怖い。家の中でも、深夜に怖い時がある。しかし私たちは、却ってこういった怖さをもっていることで、人間の手に負えない、自然の本性、自分の中に潜む同様なものに畏怖を感じているのだと思う。
晴天が続いた。まだ五月なのに、日中畑へ行くと日ざしの強さに頭がくらくらする。でも畑にいることが楽しい。そこには色んな雑草、野菜、昆虫たちがいる。野菜は育ってほしいが、なるべく野菜以外の生きものたちとも共存共栄しているようにしたい。その共存共栄の理想を目指しながら、畑の管理人をしているような感覚が面白い。本来どんな動物、昆虫、植物も地球の家族だ。みんな大地の子だ。美味しい野菜は育てたい。でも、できるだけ全体の環境を活かしたい。この地球の、全ての生物を育んできた大地、人類の手で耕してきた大地、その一端を、今ぼくが鍬を手にして触れている。やりがいのある仕事だ。           2019年5月23日


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