春になると共に、太陽が高く上り、日差しが部屋の中にまで入り込んでくる。外気は冷たくても、お日様の光りが、ぐんぐんと部屋を温めてくれる。そうなると冬の上着を一枚、一枚と脱いでいき、炬燵も暑苦しい思いがしてくる。なくてはならなかった冬の暮らしの必需品が、段々に隅に置かれていく。
能登の、冬のモノクロームの空が、一面まっ青なそれに変わり、陽がさんさんと注いでくれる度に、太陽のありがたさが身に沁みる。内に籠って寒く凍えるのに耐えてきた身は、一年の早春の温もり、晴れやかさが、嬉しいと声を上げていく。
能登の冬は、じっと耐えて待つことも必要であることを教えてくれる。天命を信じて、待っていれば、自ずから天地の理が、私達の一人ひとりの素材に応じて生活させてくれるように思う。
人間以外の生き物は、そういう自然や天地の理を分かっているのに、何故か私達人間だけが、それに抗って、もがき、苦しむようなことをしてしまう。老若男女どんな人も、他と比べ合いをしなければ、それなりに平安な人生が展開していく。私達は、必ず老いて、病んで、死んでいく。そんな現実から逃れるように、健康や長生きだけを目標とする人生観は、却って健康的な生活から遠のくような気がする。 2018年3月23日
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