2017年12月22日

72 能登あすなろ通信  独自の経験

先月の下旬からパタリと、晴れの日がなくなった。それから二十日以上にわたって、曇り、雨、霙、雪…と、例年より早い北国の冬空が、天を占領してしまっている。
 関東地方に長い間住んでいて、すっかりそんな冬を忘れてしまっていた。北国の冬空は、太平洋側の空とは、正反対。こちらの冬は、灰色に染まった、薄暗い、重い空であったことを忘れていた。
能登でもここ門前町黒島は、日本海に面していて、シベリヤの方からやってくる冷たい北風が、ごうごうと真面に吹きつけてくる。二階に居ると、船に乗ってでもいるかのように揺れる。その換わり、夏の涼しさも格別なのだが……。
台所が昔の土間になっていて、そういった冷たい風が、隙間から吹き込んでくる。だから真冬になると、長靴をはいての台所仕事となる。そういう生活も当たり前になり、三年目にして慣れてきた。冬用の頑丈な長靴は気持ちが良い。
何が大変で、何が安全なのか。何が幸せで、何が良いのか。何が不幸で、何が悪いのか。それは、世間++や常識で決められるはずがない。自身の考え方次第だ。日々の様々な経験は、独自の経験の連続である。どんな些細な経験も掛け替えがない。そんな簡単な事柄が分かってくるまでに、多くの経験を費やさなければならなかった。  2017年12月21日
                         

                             


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