寒くなって電気こたつを出し、蓋をしてあった囲炉裏に火を入れた。赤々と燃える炭火に眼が奪われる。太陽の子供がここにいるようだ。
いつの間にか、あれ程賑やかに楽しませてくれた鈴虫やコオロギ、蛙たちもひっそりとなってしまった。稲刈りが済んで丸坊主になってしまった田んぼ、所々紅葉しかかっている木々、森、山々……。あちらこちらが、秋の気配でいっぱいです。
畑で作業していると、野菜以外には、雑草としか言えない自分自身が、もどかしい。植物図鑑を眺めて見たものの、写真と、説明だけでは到底分からない。実際に手に触れて、鎌で切っているこの草は何なのか。草の名前すら分からなくて、邪魔者としか扱えない自分が腹立たしくさえ感じる。ちょうどそんな折、「能登の山を歩く」会を教えてもらい、早速参加した。無知な者の、これは、何?あれは、何?という無謀な質問に、先輩たちが、百パーセント応えてくれる。これは、秋のキリン草です。……この葉っぱは、こんな風にも観察できます。と的確に教えてくれる。少しずつ山道を歩く速度が遅くなっていく。分からないことが、分かりだすと、急に道端の隅にあった草花が頭をもたげて、ぼくの方を向く。
知らないこと、分からないことばかりだ。と知っただけでも大変な収穫だった。ずっと、ずっと前から生きてきた、ぼくたちの先祖である生き物たちに、もっと近寄りたい。 2017年10月20日
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