2023年9月30日

141 能登あすなろ通信 お彼岸

 


「暑さ寒さも彼岸まで」が、ぴったりするように、急に涼しくなった。涼しさも通り過ぎて、寒い、と感じる時もある。風通しのよい玄関の土間から、畳のある陽当りのよい部屋へと引っ越していく。夜、網戸からガラス窓を閉めると、急に秋の虫たちが遠ざかり、家の中がシーンとしていく。

つい最近まであつくて、暑くて大変だったにも拘らず、夏が終わった?のかと思うと名残惜しい気持ちがしてくるのは、ぼくの個人的な思いに過ぎないのだろうか。少年時代の、もう夏休みが終わったのかという気分を、未だに潜ませていることを思う。

大変なことであっても、大変な事件であっても、時が経つにつれ、感慨深いと思うようになれば、それは他人事のように自分のことを眺められるようになったことなのだろう。自分のことを、他人のように感じ、冷静になってくれば、迷いや悩みは減り、人生は自由に、楽になっていくに違いない。

他人の感情や思いを察していく気持ちがないまま、独り善がりになり、行動していくのが日常生活なのだ。としたら、争い、喧嘩、さらに戦争にまでなっていくのは、その結果なのだろう。切羽つまっていればいる程、自分の思いを押し通そうとせず、立ち止まり、深呼吸してみる。人生はその繰り返しなのかもしれない。街灯のない所で夜空を見上げる。天の川がくっきり浮かび上がる。これだけの星々に囲まれ、地球があり、ぼくがいることに、一瞬たじろぐ。その一瞬に、無限の命に囲まれ、共に生きているぼくを感じている。                                2023年9月25日

 

0 件のコメント: